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最高裁判所第三小法廷 昭和27年(あ)4975号 決定 1953年4月21日

本籍

朝鮮全羅南道延順天郡海龍面連陽里

住居

秋田県鹿角郡尾去沢町市街地

無職

中村トシこと

申トシ

大正五年九月五日生

右の者に対する酒税法違反被告事件について昭和二七年七月一八日仙台高等裁判所秋田支部の言渡した判決に対し被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人蓬田武の上告趣意(後記)第一点について、

「所論は判例違反を主張するが判例を具体的に示さないから適法な上告理由とならない(第一審判決判示第二、第三の各所為はいわゆる仕込を行つた時期が異り、それぞれ別個の原料と別個の器具を使用しているのであるから、各個の濁酒製造行為とみるべきであり、所論のように被告人が最初濁酒五斗を製造する意思であつたが、資材などの関係で二回に分けて仕込んだものとしてもこれを一個の行為とみるべきものではない。この点に関する原判決の判断は相当である)。」

同第二点について、

単なる法令違反の主張であつて適法な上告理由とならない(本件について刑法併合罪処罰の法条を適用すべきでないことは酒税法六六条の明文の存するところである)。

同第三点は量刑不当の主張であつて適法な上告理由とならない。

なお記録を精査しても刑訴四一一条に該当する事由はない。

よつて、同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により全裁判官一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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